フラットラックコンテナ

天井がないどころの話ではありません、なんと壁もです。

産業廃棄物を入れるコンテナ

収納できないから天井を取り外したのがオープントップコンテナですが、これは 高さ制限を緩くはしてくれましたがあくまで高さだけです。 でもフラットラックコンテナ(FlatRackContainer)は左右の壁面もありません。 なので幅の広い大きな荷物でも運送することができます。 天井も壁もなくしちゃってどんな姿なのか興味をひかれますが、床の4隅に支柱 が生えていてその間を前後の2枚だけ壁があります。 柱がなければ前後の2枚の壁の取り付けに支障がありますからこの柱は重要です。 中古として販売される前、コンテナは重量のある荷物を積み込んだり降ろしたり することが日常的に行われるわけですが、たまにはほんの少しだけ壁にぶつけて しまうアクシデントも起こるでしょう。 クレーンを操作するのも人間ですし、年に1回や2回イージーミスをするとしても そう責める気にはなりませんが、もしもコンテナを壊してしまうような事態となれば ちょっと話は違ってきます。 支柱のない壁だけだった場合、コツンとぶつけただけで倒壊してしまうかも しれませんしそのような事故が発生したら犯人を責めずにはいられません。 そうなりにくくする役割が支柱にはあり、壁の強度を高めるために必要不可欠なのです。 このタイプのコンテナは分割して運べない、幅のある荷物を専門としていますが そういったものはほとんどが重量もそこそこあります。 ドライコンテナに載せられるのならそこまで重たくはないのですが、そのサイズに 収まらず分割もできない荷物が対象となるので、このコンテナに積まれることに なるのは重たいものばかりなのです。 なので何度も重たい物を積んだり運んだりすることを想定して、床面が冷凍コンテナ などよりも強固な設計になっています。 床を強化しているって話だけど壁が少なくて天井もないなら運賃は安くなるのかな、 と素人でも考えつきますが、特殊なコンテナですしその反対に割り増し料金です。 だいたい壁がない理由がそこからはみ出すサイズの荷物を運ぶためなので、 フラットラックコンテナを他のコンテナ同様に並べて運ぶことはできません。 ドライコンテナなら隙間なく壁面と壁面をくっつけるように貨物船に積めますが、 左右の壁がなくて荷物が外にはみ出してるフラットラックコンテナだと間隔を 広く開けて並べることになります。 これは貨物船にとって大きな痛手で同じ床面積に積める荷物の量が減ってしまう ことにほかなりませんから、運賃も割り増しになるのです。 似たタイプにフラットベッドコンテナ(FlatBedContainer)もあり、こちらは 左右の壁だけではなく前後も、柱もないただの床です。 床面の上には何も存在せず、貨物を積むのを阻むものは一切ありません。 「床面だけのコンテナなんて必要なの?無しでもいいじゃん」とか言われそう ですが、こうしなければ船に載せてもらえません。 フラットベッドコンテナを使うケースは、重たい物を運ぶというのも説得力が ありますが形状的にこれしか無理、というのが多いでしょう。 左右だけでなく前後の壁もないので、通常のコンテナには大きすぎて載せられない 荷物でも余裕で受け入れられます。 「壁にぶつかっちゃうよ~」と情けない声で泣きを入れることもなく、涼しい顔で 吊るすなり持ち上げるなりして搬入しちゃえるのがフラットベッドコンテナの 最大の強みとなっております。 このようにコンテナにもいろいろな種類がありますが、改造後に中古で販売されて いるのは主に流用の簡単なドライコンテナです。 フラットベッドコンテナなんかは丈夫な床というだけですし、倉庫にするにも 雨風をしのげないのであまり役に立ちません。 大きくて丈夫な箱としての再利用が圧倒的に多いので仕方ありませんね。